環境学習Vol.14「ヨシの話」A
更新日: 2017年2月14日
通常ヨシ製品は陸ヨシを使用します。ヨシには陸ヨシと水ヨシがあり、水ヨシは水に浸かっているため、波の作用を受けまっすぐに育ちません。一方陸ヨシは水に浸かっていないので、まっすぐに成長しすだれ等の商品化にしやすいのです。またヨシとハギの違いですが、ヨシは根が長く水中でも根の先まで酸素を供給する必要があるので中は空洞となっています。一方ハギは陸地に根を下ろし、根自体も短く酸素供給の必要性がないため、中は空洞でないのです。ヨシは耐久性や排水性に優れた材料であり、ヨシ屋根の家は夏涼しく冬暖かだとか・・・

よし戸、よしずが中国産から輸入されるようになり、国産の衰退化などの話があったほか、竹田さんの作品が紹介されました。2001年パリの郊外に高知の杉、琵琶湖のヨシを使った茶室が完成。名古屋でのCOP10では、ヨシ400束を使った帆船(22m)を造り、この船に乗って伊勢参りを体験されました。2015年三重県鵜殿の新築工事で見事な黄金色のヨシ葺き屋根を建築。2016年琵琶湖ホテル「おおみ」にて室内初の試みであるヨシ壁を造作されました。これを機に「壁」を「ヨシ」で葺くといった新たな挑戦がスタートしたのです。

そして竹田さんらしい「三方によい葭(ヨシ)」の話が心に残りました。
ヨシは三つの大きな自然浄化(水・土・空)の役割をしています。
(1)水の中に含まれる主な窒素とリンを吸収する
(2)水が運んできた土砂の中の土壌汚染物質(農薬・科学物質など)
(3)ヨシが生育するときに空気中の二酸化炭素を吸収

(参考)一年間でヨシの成長量(光合成)が普通の状態で
   陸ヨシ:1.8〜2.5s/u
   水ヨシ:1.0〜1.8s/u
   栽培を目的とした場合には、4.5s/u

西の湖は2008年10月30日に琵琶湖のラムサール条約湿地登録エリアに追加されました。これまで風光明媚な自然景観を有し、時として人々に安らぎと郷愁を与えてきた西の湖。この美しさを環境面で大きく下支えしているのは、湖畔に自生するヨシ群落です。そうした貴重なヨシに親しみ、価値を再発見することに着眼しヨシ材料を使用した造形作品の展示会を竹田さんらが中心となって企画しています。昨年9月には第10回目が開催されました。学生の作品も多いとのこと。もっとたくさんの若い人たちにヨシに触れてもらい、琵琶湖の恵みを感じてほしいものです。

会場:琵琶湖ホテル「SAZANAMI」
食事:和食・・・今日はバレンタインデーだから?最後の和菓子は「チョコレート入り梅の花」

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